海外FXで利益を上げられるようになると、法人名義で利用できる法人口座の開設も視野に入ってくるのではないでしょうか。
法人化することで税金などの面で有利になりますが、設立や維持にかかる費用をはじめとした注意点もあるため、あらかじめ知っておきたいですね。
この記事では、海外FXの法人口座のメリット・デメリットや、法人化を行う目安についてわかりやすく解説します。
法人口座を開設できるおすすめの海外FX業者も紹介していますので、法人化してトレードすることを考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
海外FX法人口座のメリット
海外FXの取引条件は、ゼロカットや高いレバレッジなどの面で国内FXよりも優れています。
そんな海外FXですが、個人トレーダーが個人口座を開設して利用した場合、特に税金の高さで国内FXよりも不利になることがありますね。
そうした海外FX利用の課題には、法人口座を使うことで得られるメリットによって解決できるものがあります。
- メリット①法人口座の方が税率が低くなる
- メリット②経費計上できる項目が増える
- メリット③損益通算ができる
- メリット④繰越控除ができる
メリット①法人口座の方が税率が低くなる
法人化して海外FXを利用する最大のメリットは、適用される税率が低くなる可能性があることです。
ここで、海外FXの個人口座と法人口座で適用される税率(住民税等も含む)を比較しましょう。
個人口座 | 法人口座 | |
---|---|---|
課税方法 | 雑所得・総合課税 | 法人税 |
税率(住民税等も含む) | およそ17〜57% | およそ22〜36% |
個人口座を利用した場合、利益に対しては総合課税が適用されます。
総合課税は他の所得と合算し、所得が多くなると段階的に税率も上がる累進課税方式ですね。
所得とそれに対応する税率は以下のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
上記税率に加えて、住民税(10%)+復興特別所得税(2.1%)が一律でかかります。
例えばサラリーマントレーダーの場合、給与所得と海外FXの所得の合計額から、海外FXの利益にかかる税率が計算される点に注意が必要です。
給与などの所得が多い場合などは、海外FXの利益が少なくても適応される税率は高くなる可能性がありますね。
それに対して、海外FXの法人口座では法人税が適用されます。
課税所得金額の区分 | 400 万円以下 | 400 万円超 800 万円以下 | 800 万円超 |
---|---|---|---|
法人税 | 15.00% | 15.00% | 23.20% |
地方法人税 | 1.55% | 1.55% | 2.39% |
法人住民税 (1)都道府県民税 | 0.15% | 0.15% | 0.23% |
法人住民税 (2)区市町村民税 | 0.90% | 0.90% | 1.39% |
事業税 | 3.50% | 5.30% | 7.00% |
特別法人事業税 | 1.30% | 1.96% | 2.59% |
総合税率 | 22.40% | 24.86% | 36.80% |
ちなみに法人口座の税率は海外FXと国内FXで違いはなく、どちらも同じ上記の法人税の税率が適用されます。
後にご説明しますが、法人では役員報酬や経費を差し引いた後の金額が課税される所得になります。
一概にはいえませんが、現在個人トレーダーで安定してトレード収入を上げており、さらに海外FXの所得と給与などその他の所得の合計が330万円以上ある人は、法人化して法人口座を利用することで海外FXの利益に対する税率を低くできる可能性があります。
メリット②経費計上できる項目が増える
法人化して海外FXの法人口座で取引することにより、経費によって節税ができる範囲が広がります。
法人が経費計上できる項目として大きいのが、役員報酬ではないでしょうか。
自分自身はもちろん家族へ支払った給与を経費にできるため、節税効果を高められますね。
その他、取引に使用した機器・通信費・教材費・家賃などの経費計上も、法人では有利に行なえます。
メリット③損益通算ができる
損益通算とは、ある事業等で発生した損失を他の所得から控除することをいいます。
個人で海外FXを行う場合、損益通算できるのは他の海外FX業者で得た損益や、その他雑所得の範囲に限られています。
そのため、例えば国内FXや先物取引での損益や、給与やその他事業の所得とは損益通算できません。
しかし海外FXの法人口座で発生した損益は、同じ法人内で発生した所得と損益通算が可能です。
例えば、FXの損失を別の所得と相殺したり、FXの利益を他の事業への投資に使ったりなどすることで、様々な節税の工夫ができます。
メリット④繰越控除ができる
繰越控除とは、発生した損失のうちその年内に控除しきれなかった分を、来年に繰り越して控除に使える制度です。
個人口座の場合、源泉分離課税である国内FXでは3年間の繰越控除がありますが、総合課税である海外FXに繰越控除はありません。
しかし法人口座にすると、海外FXでも最大10年の繰越控除が可能になります。
法人口座を開設した後にトレードで損失を出す時期があったとしても、翌年以降の控除に使える可能性があるのは助かりますね。
海外FX法人口座のデメリット
海外FXで大きな利益を出せるトレーダーにとって、税金で有利な法人口座の利用は魅力的です。
しかし、法人設立や法人口座の開設には、個人でトレードするよりも多くの準備や運営面での費用負担があるため、事前によく把握しておく必要があります。
- デメリット①法人口座開設時の必要書類が多い
- デメリット②法人設立・維持に費用がかかる
- デメリット③利益を自由に出金できない
- デメリット④含み益も課税対象となる
デメリット①法人口座開設時の必要書類が多い
海外FXで個人口座を開設する場合の必要書類は、①本人確認書類と②住所証明書類の2種類だけでした。
しかし法人口座を開設するとなると、はるかに多くの必要書類を揃えなければいけません。
法人口座の開設に必要な書類は海外FX業者によって異なりますが、おおむね以下のような書類の提出が求められます。
- 代表者の身分証明書類
- 代表者の住所証明書類
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 法人の住所証明書類
- 取締役名簿
- 取締役身分証明書類
- 取締役現住所証明書類
- 株主名簿
- 定款
多くの海外FX業者では、上記のような必要書類を揃えてアップロードすれば簡単に法人口座を開設することができます。
しかし、海外FX業者によっては「まず個人口座を開設し一定の実績を積まないと法人口座は開設できない」などの別途条件を設けている場合もあります。
法人口座を開設する場合は、最初にその業者の必要事項を確認しておくと良いでしょう。
デメリット②法人設立・維持に費用がかかる
海外FXで法人口座を開設するためには、まず法人を設立しなければいけません。
しかし、法人を設立し維持するには費用がかかります。
設立にかかるコスト | |
---|---|
株式会社の場合 | およそ22〜24万円 |
合同会社の場合 | およそ10万円 |
株式会社を立ち上げる場合は、登録免許税や定款の認証など手続きが多いため、一般に22〜24万円の実費がかかります。
合同会社の場合は、株式会社より手続きが少ないため、およそ半分のコストで設立できますね。
海外FXで法人口座を作る場合、利益に対する税金対策の面では株式会社も合同会社も同じなので、より手軽に法人化するなら合同会社がおすすめといえます。
さらに、法人を維持するには例えば以下のような固定費が必要になります。
コスト | |
---|---|
税金(法人住民税均等割) | 利益に応じて法人税や法人住民税を払うことはもちろんですが、赤字の場合でも「法人住民税均等割」は固定費として発生します。 均等割は資本金と従業員数によって分けられており、例えば資本金1,000万円以下、従業員数50人以下の場合は7万円になります。 |
社会保険料 | 法人を設立したら、社会保険へ必ず入らなければいけません。 給料のおよそ15〜16%が社会保険料になります。 |
税理士などへの報酬 | 法人の税務や会計などは複雑なため、基本的には税理士などの専門家に任せることになります。 税理士への報酬は契約内容にもよるため一概にはいえませんが、年間で数十万円は必要になります。 |
上記以外にも、事務所を別に構える場合はその家賃や光熱費が必要になりますし、場合によっては社員への給料も払う必要があります。
デメリット③利益を自由に出金できない
海外FXを個人で利用するのであれば、取引で得た利益は自分の好きなように使うことができます。
しかし、法人口座で取引することは会社の事業の一環であり、利益が出ても自由に出金して使うことはできません。
会社が得た利益の一部を役員報酬として受け取る形になるので、トレードの利益がそのまま収入にはならないことに注意したいですね。
役員報酬は事業年度単位で設定しますので、多すぎず少なすぎず、ほど良い金額を決めることも重要になります。
デメリット④含み益も課税対象となる
海外FXの法人口座で取引する場合、事業年度の末日に未決済のポジションがある場合は、その時点での評価損益が課税の対象になります。
したがって、含み益に対しても税金がかかる可能性があります。
個人で海外FXを利用した場合、決済して確定した損益のみが課税対象なので、この違いはあらかじめ知っておきたいですね。
海外FXのおすすめ法人口座5選
全ての海外FX業者が、法人口座の開設に対応しているわけではありません。
例えば人気ブローカーのXMは現在(2024年3月時点)は法人口座に対応していないため、XMをメインで使っているトレーダーでも他の海外FX業者を選択する必要がありますね。
ここからは、信頼性が高く法人口座を開設可能なおすすめの海外FX業者5社を見ていきたいと思います。
- おすすめ1位 Exness(エクスネス)
- おすすめ2位 FXGT
- おすすめ3位 AXIORY(アキシオリー)
- おすすめ4位 HFM
- おすすめ5位 TitanFX
おすすめ1位 Exness(エクスネス)
Exnessは2009年に設立、セーシェル金融庁(FSA)等のライセンスを取得して運営されている海外FX業者です。
Exnessの日本語版公式サイトは、日本の金融庁から発せられた警告に対応する形で、2023年9月から通常の検索ではアクセスできなくなっています。
しかし当サイトはExnessとIB契約を結んでおり、ここに掲載するリンクからは問題なくExness日本語版公式サイトへ移動できますのでご安心ください。
Exnessを利用するメリットは、最大無制限(21億倍)のレバレッジと業界最狭レベルの低スプレッド取引が可能な点にあります。
取引コストを抑えながら、資金効率良く取引したいトレーダーにとって、Exnessはおすすめですね。
しかしExnessで法人口座を作るには「必要書類一式を提出すれば良い」というわけではなく、以下2つの条件を満たしておく必要があります。
- 個人口座を開設し、3ヶ月程度以上の取引実績があること
- プレミアシグネチャー会員になること
上記のうち分かりにくいのが、「プレミアシグネチャー会員になること」ではないでしょうか。
Exnessには「Exnessプレミアプログラム」というロイヤルティプログラムがあり、入金額と取引量によってユーザーのランクは段階的に上がります。
ランク | 生涯入金額 | 四半期ごとの取引量 |
---|---|---|
プリファード | 2万ドル | 5,000万ドル (約500ロット) |
エリート | 5万ドル | 1億ドル (約1,000ロット) |
シグネチャー | 10万ドル | 2億ドル (約2,000ロット) |
ランクが高いユーザーはExnessのサービスが優遇されるのですが、「プレミアシグネチャー会員」はその中でも最上位ランクであり、達成条件として「生涯入金額が10万ドル以上」と「四半期ごとの取引量が2億ドル(約2,000ロット)以上」の2つを満たさなければいけません。
この時点で、Exnessではハイレベルなトレーダーしか法人口座開設の資格がないことがわかります。
その上で、以下の必要書類を提出し認められれば法人口座を開設できます。
- 申込書
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 取締役一覧
- 株主名簿
- 定款
- 役員・株主全員の本人確認書類
- 役員・株主全員現住所確認書類
- 法人番号
- 法人の住所確認書類
Exnessの法人口座開設は、海外FXの中でも難易度が高い部類に入ります。
Exnessの取引条件に魅力を感じる人にはおすすめしたいですが、「もっと簡単に法人口座をつくりたい」と考える人は、別の海外FX業者を検討しても良いでしょう。
おすすめ2位 FXGT
FXGTは2019年設立、セーシェル金融庁(FSA)等のライセンスを取得して運営されている海外FX業者・仮想通貨取引所です。
FXやゴールド等だけでなく、仮想通貨取引でも最大1000倍のレバレッジを利用できることや、低スプレッド口座が充実していることがFXGTのメリットですね。
さらにFXGTでは、法人口座でも15,000円の口座開設ボーナスや入金ボーナスなどを利用できるので、キャンペーンも活かせばより規模の大きい取引が可能になります。
FXGTで法人口座を開設するには、以下の書類が必要です。
- 代表者の本人確認書類
- 代表者の現住所確認書類
- 銀行取引明細書または銀行残高証明書(3ヶ月以内発行)
- 履歴事項全部証明書
- 役員証明書(任意の定形)
- 株主証明書(任意の定形)
- 法人住所証明書
- 会社の定款
- 口座開設及び口座管理者権限の付与に関する法人の取締役会決議書(FXGTの定形を使用)
- 最終受益者申告書(FXGTの定形を使用)
- 取締役・最終受益者(10%以上保有)・口座管理人の全員の身分証明書
- 取締役・最終受益者(10%以上保有)・口座管理者の住所証明書
FXGTの法人口座開設の手順は、個人口座と同じく公式サイトの登録フォームから行なえます。
個人口座の取引実績がなくても法人口座を開設できるFXGTですが、必要書類は多いので十分に揃えた上で手続きを行うようにしたいですね。
おすすめ3位 AXIORY(アキシオリー)
AXIORYは2011年に設立、ベリーズ国際金融サービス委員会(FSC)などのライセンスを取得して運営されている海外FX業者です。
透明性の高い完全NDD方式を行い、低スプレッドと高速約定を利用できることがAXIORYの最大のメリット。
さらに、海外FX業者としては珍しく信託保全を行っている信頼性の高さもAXIORYを選択する際の理由になるでしょう。
AXIORYで日本法人口座を開設するには、以下の書類が必要です。
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 株主名簿
- 法人住所確認書類
- 取締役様現住所確認書類
- 取締役決定書
- 取締役の本人確認書類
- 取締役の現住所確認書類
AXIORYの法人口座は、個人口座と同じく公式サイトの登録フォームから開設可能であり、個人口座での取引実績等は不要です。
海外FX業者で手軽に法人口座を開設したい人には、AXIORYはおすすめですね。
おすすめ4位 HFM
HFM(旧HotForex)は2010年設立、日本を含む地域はセントビンセント及びグレナーディン諸島に登録された法人によって管轄されていますが、グループ全体としては英国金融行為規制機構など複数のライセンスを取得して運営されています。
幅広い口座タイプと取引銘柄を揃え、入金ボーナスも提供しているHFMは、ブローカーのタイプとしてはFXGTなどと同じくオールラウンダーの部類に入るでしょう。
HFMが提供している最大67万円の20%入金ボーナスは法人口座でも利用可能なので、ボーナスを獲得してトレードしたい人に向いています。
HFMで日本法人口座を開設するためには、以下の書類が必要です。
- 代表者の身分証明書類
- 代表者の住所証明書類
- 履歴事項全部証明書
- 法人の住所確認書類
- 株主名簿または出資者名簿
- 定款
- 登録株主および取締役全員の身分および住所証明書
- 取締役会決議書
HFMの法人口座は、個人口座と同じく公式サイトの登録フォームから開設可能であり、個人口座での取引実績等は不要です。
国際的に事業を展開する大手海外FX業者で法人口座を開設したい人は、HFMも候補に入れてはいかがでしょうか。
おすすめ5位 TitanFX
TitanFXは2014年に設立、バヌアツ金融サービス委員会などのライセンスを取得して運営されている海外FX業者です。
独自の「Zero Point テクノロジー」による透明性の高い環境で、低スプレッドと高速約定の取引ができることが最大の魅力ですね。
TitanFXはボーナスキャンペーンをほとんど行っていませんが、その分質の高い取引環境を求める人に向いています。
TitanFXで法人口座を開設するには、以下の書類が必要です。
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 役員・取締役全員の登記書類(定款に記載されていない場合)
- 株主全員の登記書類(定款に記載されていない場合)
- 役員および実質的支配者の証明書(TitanFXの定形二記入)
- 役員および実質的支配者の写真つき本人確認書類
- 役員および実質的支配者の住所証明書類
TitanFXの法人口座は、個人口座と同じく公式サイトの登録フォームから開設可能であり、個人口座での取引実績等は不要です。
スキャルピングやデイトレードを主に行うトレーダーの場合、低コストで取引できるTitanFXの法人口座もぜひ検討してみてください。
海外FX法人化のタイミング目安
法人の設立は、サラリーマンのように会社と雇用契約を結んでいる人に対しても制限がないことが「会社法」で認められています。
副業を行い収入源を増やす手段として、あるいはトレードを本業として行う手段として、法人化して海外FXを利用したいと考えている人も多いと思いますが、「いつ法人化するべきか」は悩みのタネではないでしょうか。
海外FXの法人化・法人口座開設の目安・タイミングとして、以下の2点が考えられます。
- トレードの技術・成績が一定期間にわたって安定していること
- 海外FXの利益を含む合計の所得が330万円を超えること
1つ目の目安は、トレードの技術や成績が一定期間にわたって安定したタイミングです。
さまざまな相場状況においても安定した成績を残せるようにならないと、利益を上げられないばかりか、最悪の場合は法人を維持するためのコストを払えずに、作った会社を畳まなければならない事態も起こり得ます。
法人化して海外FXを利用する際には、トレード技術・成績が安定していることは何よりも重要でしょう。
2つ目の目安は、海外FXの利益と給与などの所得の合計が330万円を超えることです。
個人で海外FXを利用する場合、課税される所得によって税率は段階的に上がり、所得が330万円〜694万9,000円の場合に住民税等を含む税率がおよそ31%になるので、法人税の最小ラインであるおよそ22%を超えてきます。
個人口座 | 法人口座 |
---|---|
税率(住民税10%+復興特別所得税2.1%も含めた場合) 1,000円〜1,949,000円:17.1% 1,950,000円〜3,299,000円:22.1% 3,300,000円〜6,949,000円:31.1% (以下、所得に応じて税率は上がる) | 表面税率(法人地方税なども含む税率) 課税所得が400万円以下:22.4% (以下、所得に応じて税率は上がる) |
このように所得と税率のバランスを考慮して、課税される所得を目安に法人化する方法が考えられますが、所得の状況は人によって異なるので、ここで目安としている330万円はあくまで1つの基準とお考えください。
例えば給与所得が500万円ある人の場合、海外FXの利益に対しては少なくともおよそ31%(住民税等も含む)がかかります。
「それなら法人化した方が節税になる」と考えるのは早計で、あまり稼げない人が法人化しても、維持費の多さでメリットを感じられないかも知れません。
単純に税金対策だけで海外FXの法人化を考えると実情に合わない可能性もあるため、自分の他の所得とのバランスやトレード技術や経験などから総合的に判断することが必要でしょう。
よくある質問
最後は、海外FXでの法人口座についてのよくある質問にお答えしたいと思います。
- 海外FXで法人口座は作れる?
- 海外FX法人口座にかかる費用は?
- 海外FXの法人化には意味ない?
- 海外FXの法人口座のレバレッジは?
- 海外FXの法人口座と個人口座の税金面での違いは?
海外FXで法人口座は作れる?
海外FXで法人口座は作れます。
しかし、例えばXMのように法人口座に対応していない業者もあるため、利用したい海外FX業者が法人口座に対応しているかは、事前に確認すると良いでしょう。
海外FX法人口座にかかる費用は?
海外FXの法人口座は、開設時の手数料や維持費はなく、無料で利用できます。
海外FXの法人化には意味ない?
法人化して海外FXを利用することで、利益にかかる税率を下げられる可能性があります。
特に海外FXでたくさん稼いでいる人の場合は、法人化することで節税効果が期待できます。
海外FXの法人口座のレバレッジは?
海外FXでは、個人口座と法人口座で基本的には口座スペックに違いはありません。
個人口座と同様の高いレバレッジを、法人口座でも利用できます。
海外FXの法人口座と個人口座の税金面での違いは?
海外FXを法人口座で利用する場合、利益に対しては法人税が適用されます。
法人税の税率は、法人地方税等も含む表面税率はおよそ22〜36%となっています。
それに対して、海外FXを個人口座で利用する場合、利益は雑所得となり総合課税が適用されます。
総合課税では、課税される所得の合計金額によって税率が変わり、住民税や復興特別所得税も含む場合およそ17〜57%になります。
総合課税では給与所得なども含まれるので、海外FXの利益が少なくても、他の所得によっては海外FXの税率が高くなる場合があります。
海外FX法人口座まとめ
海外FXの法人口座を利用する前には、法人化する際のコストや維持費などのデメリットをよく把握する必要があります。
法人化のハードルは決して低くはありませんが、法人として海外FXを利用することで税金対策ができるので、デメリット以上に大きいメリットを得られる可能性がありますね。
海外FXで継続して勝ち続けられるトレードスキルがあり、利益も大きくなってきたトレーダーは、法人口座の利用を検討してみてはいかがでしょうか。